「脳の闇」中野信子著
メディアで人気の脳科学者によるエッセー。
ほぼすべての人が抱える「誰かから認められたい」という承認欲求。この欲求自体は自然なモノであるはずだが、これをあからさまに表現しすぎる人は一般にあまり歓迎されない。
かつて、著者が既婚者であることを知りながら猛烈にアプローチしてきた男性がいた。男性は繰り返し、「あなたは孤独な存在だ」とのメッセージを送ってきた。そして、「僕だけは、誰とも理解し合えない、その孤独を理解できる」と。当初は相手にしていなかったが、やがて彼からメッセージがこないだけで動揺し、不安を抱くようになったという。
そうした自らの体験を明かしながら、承認欲求や不安など現代人の脳に備わる「闇」の正体を解き明かす。 (新潮社 946円)