多様化する書店の生存戦略
紀伊国屋書店が「バーチャル新宿本店」を2月15日に出店し、話題を呼んでいる。
実店舗の2階フロアが360度再現されたバーチャル空間をウェブ上で訪れることが可能。ブックフェアや特集などのイベントも再現され、そこに展示される商品は、バーチャル空間と直結したウェブストアで購入できる。本との偶然の出合いという書店ならではの体験をどこにいても味わえる。
また有隣堂はSNS戦略で脱ローカル化を果たし、新規顧客を開拓している。ユーチューブチャンネル「有隣堂しか知らない世界」を2019年に開設し、登録者は21.7万人に到達。視聴者は“推し活”と称して、全国各地から来店する。
一方で、コンビニチェーン・ローソンは雑誌エリアを拡大して、児童書からビジネス書まで取り揃えた「LAWSONマチの本屋さん」を展開。地方を中心に100店舗を目指し、地域の生活と文化の両面を支えるというローカル化を図る。
出版文化産業振興財団の昨年12月の発表によると、全国の書店数はこの10年で3割減少。書店のない市町村は26.2%に上る。強い向かい風にさらされ、書店のかたちは変化していく。