「逆転のバラッド」宇佐美まこと著
暴力団に頼まれた男が、銀行員の丸岡将磨を脅すつもりが、増水した川に転落させてしまった。丸岡は後日、溺死体で発見される。
その記事を読んだ東洋新報松山支局の記者、宮武弘之は、事件性はないとする警察の見解に疑問を持つ。
丸岡は宮武の自宅近くにある銭湯「みなと湯」の設備投資の相談を担当していた。稟議(りんぎ)書を融資課長に提出すると言い、楽観的な見通しを語っていたのに、途中からはっきりしない態度をとるようになった。
「みなと湯」の経営者が銀行に問い合わせると、稟議書が提出されていないことが判明。実はこの融資話には別件の不正融資問題が絡んでいた。
地方の町を侵食する計画に町の人たちが立ち向かうクライムノベル。
(講談社 1980円)