「『諜報の神様』と呼ばれた男」岡部伸著
「『諜報の神様』と呼ばれた男」岡部伸著
第2次世界大戦中、連合国側から「枢軸国側諜報網の機関長」と恐れられたインテリジェンス・ジェネラルがいた。スウェーデン・ストックホルムに駐在していた陸軍武官の小野寺信だ。
大戦末期の1945年2月、ポーランド亡命政府からある情報が小野寺にもたらされた。中立だったソ連が米英の依頼を受け、ドイツ降伏の3カ月後に参戦することをクリミア半島ヤルタで正式に決めたというものだ。
しかし、ソ連の仲介で和平工作を進める参謀本部中枢にとって、その情報は「不都合な真実」でしかなく、「謀略」と決めつけ抹殺した。小野寺は、スウェーデン王室を通じて独自に和平工作にも動くが、それも握りつぶされる。
本書は、小野寺の人生とその驚くべき諜報活動の詳細を描いた評伝。
(PHP研究所 1100円)