「テロルの原点」中島岳志著

公開日: 更新日:

「テロルの原点」中島岳志著

 1921年9月28日、安田財閥の創始者・安田善次郎が面会を求めてきた青年に惨殺された。自らもその場で喉を切って果てた青年の名は、朝日平吾。労働運動に携わる31歳の無名の人物だった。

 この事件に誘発され、約1カ月後、東京駅で時の首相・原敬が暗殺された。さらに2つの事件は、浜口雄幸狙撃事件や血盟団事件などのテロ、五・一五事件、二・二六事件などのクーデター事件の引き金となっていく。

 当時の日本は、第1次大戦終結による不況が長期化し、深刻な格差社会に陥り、若い世代を中心に不遇感と鬱屈が充満していた。

 100年を経て、「朝日的な感性」が再び世の中に渦巻いていることを危惧する著者が、佐賀・嬉野で生まれた青年が事件を起こすまでの軌跡を追った評伝。

(新潮社 693円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    中日1位・高橋宏斗 白米敷き詰めた2リットルタッパー弁当

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    悠仁さま「学校選抜型推薦」合格発表は早ければ12月に…本命は東大か筑波大か、それとも?

  2. 7

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 8

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 9

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議