「あかり野牧場」本城雅人著
「あかり野牧場」本城雅人著
42歳の摂男は、北海道・日高地方であかり野牧場を営む。牧場では祖父母の時代からサラブレッドを手掛けているが、経営はいつも綱渡り状態が続く。
そのわずか10ヘクタールの零細牧場から今年、デビューした2歳の牡馬キタノアカリが初戦で2着に8馬身差で圧勝。次戦でも5馬身差をつけ、いよいよ今週末に行われる2歳チャンピオンを決めるGⅠ、朝日杯に出走する。今は亡き両親から牧場を継いで20年、初めて牧場出身の馬がGIに勝利する可能性が出てきたのだ。牧場にはキタノアカリの母馬レディライラがいるから来年生まれる仔馬も高く売れるに違いない。摂男は期待と不安が入り交じりながらその日を迎える。
零細牧場で生まれた競走馬が人々の思いをのせて走るヒューマンドラマ。
(祥伝社 924円)