「忘れ得ぬ言葉」鎌田慧著

公開日: 更新日:

「忘れ得ぬ言葉」鎌田慧著

 福島原発の爆発事故の1年半後の代々木公園での集会で、大江健三郎は中野重治の詩集「春さきの風」から、政治弾圧を受けたヒロインの「わたしらは侮辱のなかに生きています」という言葉を引用してこう発言した。「私らは原発体制の恐怖と侮辱のそとに出て、自由に生きて行けるはずです」。〈大江健三郎〉

 寺山修司の父は戦病死した。母は三沢や立川など米軍基地の周辺を転々として、息子と暮らすことはなかった。だが、寺山は家庭や母親や社会からの「犠牲者」としての自己にこだわることなく、同じ津軽から上京して連続射殺事件を起こした永山則夫を、「私は、私自身の原因である」と言い切れる者だけが自由を得る、と批判した。〈寺山修司〉

 鎌田慧が出会った37人の心に残る言葉を紹介する。

(岩波書店 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ日枝久相談役に「超老害」批判…局内部の者が見てきた数々のエピソード

  2. 2

    フジテレビは株主総会に戦々恐々…宿敵ホリエモンら“くせ者”が日枝久氏ら経営陣に退陣要求も?

  3. 3

    フジ女子アナ“上納接待”疑惑「諸悪の根源」は天皇こと日枝久氏か…ホリエモンは「出てこい!」と訴え、OBも「膿を全部出すべき」

  4. 4

    フジ港浩一社長から消えなかったバブル臭…伊豆温泉不倫旅行に麻布十番デート、女子大生ブームの仕掛け人

  5. 5

    大谷の「お荷物」にならないか…間もなく第一子誕生&二刀流再開のところに“同郷の後輩”

  1. 6

    “上納接待”疑惑でフジテレビ大激震…女子アナたちの怒りと困惑「#MeToo運動」に発展か?

  2. 7

    八角理事長が明かした3大関のそれぞれの課題とは? 豊昇龍3敗目で今場所の綱とりほぼ絶望的

  3. 8

    死亡した元兵庫県議めぐる立花孝志氏の発言を県警本部長が完全否定&異例の言及…いよいよ“ガチ捜査”に突入か

  4. 9

    菊間千乃弁護士、堂々の「情報7days」出演にフジテレビへの忠誠心を感じたとする声が続々

  5. 10

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?