「笠置シヅ子信念の人生」柏耕一著
「笠置シヅ子信念の人生」柏耕一著
1945年、OSK(大阪松竹歌劇団)のトップスターだった31歳の笠置シヅ子には、9歳年下の恋人がいた。吉本興業の創業者、吉本せいの次男で、当時、早稲田大学の学生だった穎右(えいすけ)である。
穎右は大学を中退し、吉本興業に入社。妊娠中のシヅ子は出産後、入籍するつもりだったが、穎右が結核で急死する。シヅ子は引退するわけにいかなくなり、仕事を続けるしかない。
当時、売れっ子の作曲家だった服部良一の曲を歌うことになった。服部はシヅ子の苦しみを吹っ飛ばす明るいリズムの曲をと考え、頭に浮かんだのが「東京ブギウギ」だった。
「ブギの女王」と呼ばれた笠置シヅ子のドラマチックな人生を描く。
(河出書房新社 1562円)