「京都食堂探究」加藤政洋、<味覚地図>研究会著
「京都食堂探究」加藤政洋、<味覚地図>研究会著
京都の町のあちらこちらにある食堂の、一見すると普通に見えるメニューに隠された謎と驚きを解き明かす食文化エッセー。
大阪で「タヌキ」といえば甘く煮た油揚げがのった「そば」、つまり東京の「キツネそば」のこと。一方、京都の食堂の「タヌキ」は、キツネ=それも刻んだ油揚げがのった「あんかけ」のそば/うどんだという。さらに、なぜ大阪の油揚げは甘く煮られ、京都のそれは刻んだだけなのか、その理由に迫る。
ほかにも、京都の食堂なら、どんな店にもある「しっぽく」と「のっぺい」にはじまり、「衣笠」などの丼メニュー、そして京都食堂のメニューに欠かせない「中華そば」にまで迫る。
実在の食堂にも言及しながら、京都の知られざる庶民の食の奥深さを教えてくれる面白本。
(筑摩書房 880円)