記者らが伝えるニュースの裏側にある生きた現実

公開日: 更新日:

 戦争特派員というけれど、その多くはストリンガーと呼ばれる契約の取材記者だ。危険な前線取材の大半は、そういう人々が現場を担っている。

 彼らの取材はごく一部のみがニュースに使われる。映像も断片の組み合わせだ。しかしその裏面にある、生きた現実はなにか。それを伝えるのが今週末封切りの「マリウポリの20日間」である。

 ロシアのウクライナ侵攻に関連したドキュメンタリーは数多い。ロシア国境に近い東部ドネツク州を取材した先行作品にも、ちょうど1年前に公開された「マリウポリ 7日間の記録」がある。もとは考古学者だった非業のドキュメンタリストの遺作だ。

 今回の作品はロシアのクリミア併合から取材を続けるAP通信の契約記者ミスティスラフ・チェルノフと彼のチームが、ニュースに使われなかった部分を含めて長編映画にしたもの。テレビでは決して放映されない乳幼児らの遺体も、壊れた商店から略奪する人間も繰り返し出てくる。

「ある医師が言った。『戦争はX線だ。人間の内部を映し出す。善行も、悪事も』」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇