「無縁老人」石井光太著
「無縁老人」石井光太著
釜ケ崎は日雇い労働者の街で、借金取りから逃げてきた人、身寄りのない前科者などが集まっている。彼らは賭博や買春で金を使い、ここから出ていこうとする者はまれだ。隣接するアーケード街には就労支援事業などを行う㈱シクロがある。カフェなどをやっていたがうまくいかない。
ある日、軽度の知的障害のある男性がやってきた。「わしは昔、ここらで酒を造ってたんや」。シクロ代表の山崎昌宣はここにクラフトビールの醸造所を造ろうと思い立つ。覚醒剤の密売人だった男は暴力団に数万円を支払って脱退し、シクロで働くことに。(「第三章」)
高齢の犯罪者や挫折者の福祉に取り組む人びとを追うルポルタージュ。
(潮出版社 2200円)