「抗う練習」印南敦史著

公開日: 更新日:

「抗う練習」印南敦史著

「抗う」とは「無駄にあきらめるのはやめよう」という意味である。著者は誰か抗っている人と対談したいと考え、1998年に起きた「和歌山カレー事件」の林真須美死刑囚の長男を選んだ。この事件では直接証拠がなく、状況証拠の積み重ねだけで林真須美が有罪とされた。林の長女は家庭の問題で自死したが、メディアはそれを「カレー事件」と結びつけた。

 長男は、自分は犯罪者の子で、金もなく帰る家もない無敵の人間だという。施設にいたとき、いじめられたりしたが、おどけた態度でやり過ごした。和歌山を離れると、無実だという母親の主張と矛盾するので離れられない。

 逃げずに生きるための抗い方を考える一冊。

(フォレスト出版 1650円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…