「抗う練習」印南敦史著
「抗う練習」印南敦史著
「抗う」とは「無駄にあきらめるのはやめよう」という意味である。著者は誰か抗っている人と対談したいと考え、1998年に起きた「和歌山カレー事件」の林真須美死刑囚の長男を選んだ。この事件では直接証拠がなく、状況証拠の積み重ねだけで林真須美が有罪とされた。林の長女は家庭の問題で自死したが、メディアはそれを「カレー事件」と結びつけた。
長男は、自分は犯罪者の子で、金もなく帰る家もない無敵の人間だという。施設にいたとき、いじめられたりしたが、おどけた態度でやり過ごした。和歌山を離れると、無実だという母親の主張と矛盾するので離れられない。
逃げずに生きるための抗い方を考える一冊。
(フォレスト出版 1650円)