元「モエヤン」池辺愛さんは2021年都議選落選→国立大学の“助教”に

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池辺愛さん(お笑いコンビ・元「モエヤン」)

 2007~08年、全身赤と青のタイツに身を包み「ヌーブラ・ヤッホー!」のギャグを繰り出し、笑わせてくれた女性お笑いコンビ「モエヤン」。メーカーからのクレームでギャグを封印せざるを得なくなり、13年には“青”の久保いろは(現・漣さや香)さんの結婚・引退で解散してしまった。“赤”の池辺愛さん(41)は昨年、東京都議選に出馬して話題になったが、今どうしているのか。

 池辺さんに会ったのは、JR武蔵小金井駅からバスで6分の東京学芸大学。池辺さん、「教育インキュベーションセンター 助教」の名刺を差し出した。国立大学でセンセイになっていたのだ。

「立派な肩書がついていますけど、去年の秋に文部科学省から学芸大学が委託を受けたプロジェクトのために、この2月まで臨時で雇われているアシスタントのようなものなんです」

 池辺さん、まずは謙虚にこう言った。プロジェクトとは「教育人材リカレント養成・マッチングプログラム事業」。いったい、どんなものなのか。

「学校教育現場への就職・転職を促すために、教育に関心の高い方たちに講義や実習、演習で学んでいただくプロジェクトなんです。コロナ禍を受け文部科学省が全国41の大学などに委託・実施している初の試みで、学芸大学では現状、教員免許や教育にかかわる仕事をお持ちの方、そうではない方も含めて全国の100人弱の方に受講していただいています。受講料は無料なんですよ。先日、付属の竹早小学校などで実習を行ったときは、私はほかの4人の助教の方と一緒に、どの学校をどの受講者に割り振るかや、学校側と受講生の要望の調整などを行いました」

 細かい作業で大変そうだ。それにしても、なぜ池辺さんが学校教育?

「プロジェクトのリーダーである学芸大学の副学長が、私の母校・大阪教育大学付属池田中学校時代の恩師の先輩で。私が昨夏の東京都議選に都民ファーストの会の公認候補として出馬し次点で落選したときに、声をかけてくださったんです。教育界以外から人材を呼び寄せるプロジェクトだからこそ、私のような違う世界の人間を加えようとしてくださったのかな、と受け止めています」

政治やお笑いに未練はない?

 池辺さん、選挙の際は街に立っているだけで党などに対する罵詈雑言を浴び、心身ともに疲弊したという。

「でも、学校教育の世界ではそんなことはありません(笑い)。それに、芸能界はざっくりした世界ですが、学校の先生方はとても細かいところまで目配りし、皆に平等に機会を与えようと努力なさっていて、驚くと同時に、とてもやり甲斐を感じています。もともと私が芸能界や政治の世界に挑戦したのも、人に喜んでもらいたかったから。それに、2度のつらい流産を経て出産・子育てを経験し、女性としての人生とキャリアの両立の難しさを痛感しました。より良い社会にしたい、と思ったのもきっかけです」

 ところで、もう政治の世界に未練はないのか。

「都議選後も『○○選挙に立候補しないか』とお声をかけていただきます。でも、先立つものがないですし、がんばれば当選するものでもない、ということがよくわかりました。子どもがまだ小さいので、『今じゃないな』とは思っています」

 7年前、19歳年上の一般男性と結婚し、4歳の長女、1歳の長男がいる。子育て中のママでもあるのだ。

「私が結構ボケているので、長女はツッコミ役で“チビママ”という感じ。長男は怪獣です(笑い)。家に飾った切り花の花びらをちぎった揚げ句、花瓶の水をごくごく飲んだり、鍋敷きのコルクを食べようとしたり(笑い)。夫がおむつ替えや保育園の送り迎えなど、一緒に楽しんで子育てをしてくれるので、本当に助かっています」

 芸能界への意欲はどうか。「モエヤン」の元相方・久保さんとは今でも交流を続けている?

「お笑いをやめた、という感覚はないのですが、ネタを作ってお笑い番組にもう一度、という気持ちはありません。久保っちは選挙の応援に何度も来てくれました。選挙後、『ママヤン』を結成し『スタンドFM』というラジオアプリで一緒に発信しているんですよ。でも、彼女は去年離婚してシングルマザーになり、ボイストレーナーの本業に注力しなければならず、2人で時間を合わせるのが難しくて。活動方法を考え直そう、と話し合っているところです」 

(取材・文=中野裕子)

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