「新作講談を勧めてくれた円丈師匠は私にとって救いの神でした」
「それは私にコンプレックスがあって、失敗ばかりしてた体験が基のネタに、お客さまが共感して笑ってくれたんだと思います」
師匠の山陽はどう評価していたのだろうか。
「決して新作を否定することなく、アドバイスしてくれました。『おまえは絵がうまいんだから、物語を紙芝居にしてみたらどうか』なんて言ってくれて。実際にイラストを描いて、紙芝居にしてやったこともあります」
1995年4月、真打ちに昇進。翌年、落語家の林家彦いちと結婚する。
「結婚後も講談師を続けるのは当然ですが、1年後に長女を出産して、3年間子育てのために休業しました。その後、長男が生まれたこともあって育児に追われ、高座の回数が激減しました」
これは働く女性に共通する悩みであろう。 (つづく)
(聞き手・吉川潮)