池永正明投手の訃報に思う…プロ野球「黒い霧事件」に火を付けたのは週刊誌だった
「彼は“愛妻家”というキャラクターで認知されており、子供も孫もいたため、女性問題が表沙汰になることを恐れていましたから」(中畑の友人)
フザけた理由である。そんな中畑の“虚像”に愛想が尽きた人間が、文春にタレこんだのだろうか。最近の巨人は、野球では話題にならず、あたかも醜聞生産工場の感がある。もっとも、一般紙やテレビは巨人に遠慮してか“無視”を決め込んでいるが……。
プロ球界の醜聞といえば、今から50年以上前、プロ野球界を震撼(しんかん)させた事件に関わり、永久追放になった選手が先日亡くなった。池永正明、享年76。1965年に高卒で西鉄(現・西武)に入団、20勝を挙げて新人王。5年目までに99勝を挙げた天才右腕。同期のジャンボ尾崎が、彼のピッチングを見て驚き、野球を諦めてゴルファーに転身したのは有名な話である。
だが、5年目のオフ、同僚の投手・永易将之が暴力団からカネをもらって八百長をやっていたことが発覚し、池永の人生も暗転する。いわゆる「プロ野球の黒い霧事件」である。
スポーツ紙が野球界とのしがらみで、この問題に切り込めない中、気を吐いたのが週刊ポスト(小学館)だった。週刊現代の前編集長や記者を引き抜き、1969年に創刊したばかり。カネに糸目をつけずに“獲物”を追う物量作戦に、他誌は圧倒された。