疲れる、ボーッとする…女性に多い「甲状腺機能低下症」とは?
「甲状腺機能低下症が正しく診断されにくいのは、症状がさまざまな上に、どれも別の疾患でもよく見られるものだからです」
疲れやすい、元気がない、ぼーっとする、物忘れがひどい、眠い、冷え、汗が出ない、むくみ、体重増加、便秘、声がれ、記憶力低下など。いずれも甲状腺機能低下症に特有の症状ではない。
「甲状腺機能低下症の原因の大半は、自分の甲状腺を異物と見なして破壊する自己免疫疾患の橋本病です。橋本病は中高年の女性によく見られます。この年代は更年期障害やうつ病の発症率が高くなるのも、別の病気と間違われる理由です」
甲状腺機能低下症が重症化すると、日常生活を送ることが困難になる。ろれつが回らなくなり、簡単な計算すらできない。コレステロール値が上がり、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中の危険が増す。ひどくなると、意識不明に陥る。
「ところが、適切な治療を受ければ、見違えるほど元気になり、仕事、運動、食事など健康な人と同じように何でもできるようになります。甲状腺機能低下症で重要なのは、この病気を疑い、診断・治療にまでたどり着くということなのです」