糖尿病壊疽の足切断を回避 「メカノセラピー」って何だ?
具体的には、壊疽した傷口にスポンジを詰め込んでフィルムで密閉し、専用器具で吸引する。
「人工的な物理的刺激を細胞が感じて増殖し、血管が新生され、皮膚の線維ができる。切断しかなかった患者さんの傷が、数週間できれいにふさがる場合があります。陰圧閉鎖療法と呼んでいます」
■ケガの傷跡も残らない
一方、細胞が物理的刺激に対して敏感になり過ぎている場合もある。肥厚性瘢痕(はんこん)やケロイドだ。
「外傷や手術でできた傷痕の再生がちょうどよいところで終わらず、線維が過剰に産生され、皮膚が赤く盛り上がり、みみず腫れのようになります。特にケロイドは肥厚性瘢痕とはっきり区別することは困難ですが、傷を越えて正常範囲まで病変が広がり、痛みやかゆみを伴う。理由が分からず、治療効果もこれまで期待できませんでした」
この肥厚性瘢痕やケロイドにもメカノセラピーが応用されている。
「強い物理的刺激を与える糖尿病の陰圧閉鎖療法と異なり、傷にかかる物理的刺激を分散し、過剰にかかる力を逃がします」