【高次脳機能障害】感情のコントロールができず記憶も曖昧に
■粗暴になり、家までの帰り道もあいまい
マラカールさんはもともと温厚で、優しい性格だった。暴力も振るったことがない。
ところが交通事故に遭ってから、怒る、笑うといった感情のコントロールができなくなった。
めったに夫婦喧嘩もしたことがなかったのに、ささいなことで大声を上げる。工務店に依頼した店の内装をめぐって職人と言い争いになり、手にナイフを持つこともあったという。
記憶が曖昧で、明日の予定をすぐ忘れてしまう。人の名前や作業の手順が覚えられない。自分の意思を満足に伝えられなくなった。
「店の仕事は店員に任せるようになりました。帰り道がわからなくなってしまうから、遠出もできません。見た目、そんな病気を持っているようには見えないでしょう? だから、余計に困るのです」
毎月1回、東邦大学大森病院でリハビリを受け、現在も毎日、精神安定剤や睡眠薬など4種類の薬を服用している。
交通事故から3年。少しずつ回復に向かっているが、元に戻るまで相当に厳しい。