ポリープ抑制効果も 「糖尿病薬」が大腸がん予防を変える
■1日1回の服用で副作用ほぼなし
この研究の画期的な点は、まず「副作用がほぼなく、安価で、1日1回の服用という負担が軽い方法で、大腸がんにつながりかねないポリープの発生を抑えられた」ことだ。大腸ポリープが一度できると、多くが何度も繰り返す。対策は、定期的な内視鏡の検査と切除しかなかったが、メトホルミンなら実に手軽だ。
次に、「糖尿病でない人を対象に抑制効果を得られた」点。
「糖尿病は大腸がんのリスク因子。糖尿病患者を対象にすると、ポリープ抑制がメトホルミンの効果か、糖尿病改善による効果か、はっきりしません。非糖尿病患者を対象としたことでメトホルミンの直接的な作用を実証することができました」
今後は臨床研究の参加者の人数を増やし、研究年数も長くする予定だ。
■世界初の画期的な方法
これまでアスピリンやNSAIDsと呼ばれる痛み止めの投与が大腸がんのリスクを下げることが報告されている。しかし副作用も認められているため、大腸がんの予防法として確立したものではない。今回の発表は、画期的な研究結果として専門家の注目を集めている。