末期膵臓がんにかかった「作務衣の医師」 最後の提言とは

公開日: 更新日:

 どれだけ「医学」が進歩しようと変わらない事実がある。「医学」は命を延ばせるだけで、「死ぬのが怖い」という患者の苦しみを取り去ることができないことだ。だからこそ、多くのがん患者を看取り、みずからも末期の膵臓がんにかかった、ある「作務衣の医師」の言葉に耳を傾ける必要がある。

「一昨年の秋、進行した膵臓がんが見つかり手術しました。そのときの生存期間中央値は1年。平均より長生きしましたが、肝臓への転移が見つかり、がんも大きくなっているので残された時間はわずかです。私の命は夏ごろまでに尽きてしまうでしょう」

 こう語る田中雅博医師(70)は、奈良時代に建立された真言宗の名刹「西明寺」(栃木県益子町)の住職でもある。同敷地内にある「普門院診療所」(写真)で緩和ケアを手掛ける「作務衣の医師」として、多くのがん患者と向き合ってきた。

「私は常日頃から、がん患者と向き合ってきただけに、がんと分かった時は驚きも悲観もなく、とうとう自分の番が来たかと思いました。もっとも、そう思えるのも私が宗教家として心を整え、『自分に執着しない心境』を得ているからともいえます」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動