軽い痛みでも発症…くも膜下出血の“サイン”を見逃すな
■薬を飲んでも頭痛が1日以上続く
脳神経外科医で、頭痛患者を多数診ている「くどうちあき脳神経外科クリニック」の工藤千秋院長は、Aさんの事例を「決して珍しいことではありません」と話す。
「くも膜下出血の典型的なものでは、動脈にできた瘤(動脈瘤)が爆発するように破れます。これによって、激烈な痛みが生じます。しかし、破ける前に、血液がジュワーッと血管の外に染み出ていく場合があります。すると痛みは、どちらかというと軽いようになるのです」
頭全体が重苦しい。時に吐き気もある。Aさんに見られたように、鎮痛剤では痛みが治まらず、場合によっては数日間続く。
「これは、いわば大爆発となるくも膜下出血の前段階のような状態です。放置したからといって瘤は消えません。そして、何らかの拍子に瘤が本格的に破れてしまうのです」
くも膜下出血は、発症すると50%が死に至るといわれている。治療によって、ほとんど後遺症なく社会復帰できるのは30%程度との指摘もある。もし、本格的に破れる前に発見できて治療を受けられたら、非常に幸運といえる。だからこそ、サインを見逃してはいけない。