食事中の水分摂取は減らした方がいい? 腸内細菌に影響も
食事中に水やスープで食べ物を流し込んでいる人がいるが、改めた方がいい。虫歯や歯周病が増えるだけでなく、大腸や小腸の細菌叢のバランスを崩し、健康を損ないかねない。八重洲歯科クリニック(東京・京橋)の木村陽介院長に聞いた。
「食事中に水を飲むことは噛まずに食べ物を胃に流し込むことです。それは単に胃や腸の負担を増やすだけではありません。口の中を保護する唾液の量が減るということであり、体にさまざまな支障を与えることになります」
唾液には主に7つの働きがある。(1)熱い物、冷たい物など刺激物を食べた時、傷つきやすい口腔内の粘膜を保護する(2)話したり、飲み込んだりする時の舌の動きをよくする(3)虫歯菌に溶かされた歯を再石灰化して元に戻す(4)虫歯菌が出す酸を中和する(5)風邪や食中毒の原因となる細菌が体の中に入らないようにする(6)味覚を感じさせる⑦体の水分が減ると唾液量が減ることで、口や喉が乾いて補給を促す――だ。
■口腔内細菌が増え、腸内細菌叢のバランスに異変も
「唾液は健康な人で1日500~600ミリリットル程度を分泌しています。問題はその多く(約300ミリリットル)が食事中、食べ物を咀嚼する刺激によって分泌されることです。食べ物を水で流し込むというのは、食事中だけでなく、1日の唾液量を減らすことにつながっています。結果、口腔内に雑菌が繁殖し、虫歯や歯周病が増え、カンジダ菌と呼ばれるカビも繁殖します」