虚血性心疾患「心臓カテーテル」は治療後の出血に要注意

公開日: 更新日:

 このため、2008年から米心臓病学会財団、消化器病学会、心臓協会などが上部消化管からの出血を抑えるため、胃酸の分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用を推奨している。

■便の色に注目

「報告ではPPIの使用により、半分近く消化器からの出血リスクが低下したといわれています」

 こう言うのは血管内治療の権威で東邦大学医療センター佐倉病院・臨床生理機能学の東丸貴信教授だ。

「おそらく、吉村さんのケースでもPPIは使われていたと思います。ただ、高齢の心筋梗塞の患者さんは、脳梗塞のリスクが高まる心房細動を合併している人が多い。そういう人はワルファリンなどの抗凝固剤を使用しているので、出血リスクが格段に高まります。吉村さんもそうだったのかもしれません。私が勤務している病院でも、このような人の3割近くがそれなりの出血をしています」(東丸教授)

 問題は、吉村さんのようにPCI後の出血に気づかない人が少なくないことだ。

「高齢者の10人に1人は貧血といわれますが、自覚する人は少ない。一般的に貧血はドキドキする、微熱がある、体がだるいという症状が表れますが、高齢者の貧血はわかりにくいからです。なので、便がタールのように粘り気がある、色が黒いというのを目安にするのも手です」(東丸教授)

 カテーテル治療だけで命が助かったと安心してはいけないのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    八角理事長が明かした3大関のそれぞれの課題とは? 豊昇龍3敗目で今場所の綱とりほぼ絶望的

  2. 2

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係

  3. 3

    元DeNAバウアーやらかし炎上した不謹慎投稿の中身…たびたびの“舌禍”で日米ともにソッポ?

  4. 4

    松本人志は「女性トラブル」で中居正広の相談に乗るも…電撃引退にショック隠しきれず復帰に悪影響

  5. 5

    ついに不動産バブル終焉か…「住宅ローン」金利上昇で中古マンションの価格下落が始まる

  1. 6

    フジテレビ顧問弁護士・菊間千乃氏に何が?「羽鳥慎一モーニングショー」急きょ出演取りやめの波紋

  2. 7

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  3. 8

    菊間千乃は元女子アナ勝ち組No.1! フジテレビ退社→弁護士→4社で社外取締役の波瀾万丈

  4. 9

    中居正広「引退」で再注目…フジテレビ発アイドルグループ元メンバーが告発した大物芸能人から《性被害》の投稿の真偽

  5. 10

    中居正広「華麗なる女性遍歴」とその裏にあるTV局との蜜月…ネットには「ジャニーさんの亡霊」の声も