「認知症専門病院」は精神病院だった

公開日: 更新日:

「男性スタッフに押さえ込まれるように、小さい窓がついた隔離部屋に父親は入れられました。その後、4人部屋へ移されましたが、ベルトのようなもので腰がベッドに固定され、足も布で縛り付けられました。痛がるので“緩めてくれますか”と頼むと、抜けるからダメだと、かえってきつく縛られました」

 差し入れの食料はチェックされ、隣のベッドでは「帰せ!」と泣きわめくおばあさん。この状況では、健康な人でも心身が壊れるのではと、Aさんは思ったという。

 とにかく父親を出そうと老健施設に片っ端から電話したが、そういう患者を受け入れてくれるところはない。3カ月目に別の病棟へ移動。そこはプレハブ造りのような建物で大部屋にベッドがずらり並べられ、カーテンの仕切りもない。そんな中で、オムツ交換などがされていた。

「いろんな人の手を借りて、なんとか退院させて在宅介護ができるようになりましたが……。“認知症専門病院”が、実は精神病院だったと知ったのは、入院させてしばらく経ってからでした」

 Bさんが80代の父親の異変に気付いたのは昨春だった。自宅近くの中規模病院へ連れて行くと、神経内科での検査の結果、右海馬に小さな梗塞が見られ、入院して治療を受けることになった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動