「認知症専門病院」は精神病院だった
2週間の入院で脳梗塞の治療は終了。しかし、退院時には別人のようになっていた。歩けなくなり、興奮状態が続き、「宗教施設に連れて来られた!」と騒ぐ。
「母親も私も、父親の介護で精神的に追い詰められました。そんな時ケアマネから『精神病院なら医療負担1割』と聞き、渡りに船と、半ばだまして入院させました」
■無知は罪
その方が父親のためになると思ってのことだったが、すぐに後悔に変わったのは、Aさんと同様だ。このままでは父親が殺される! 冒頭の「かいご楽快」を主催する「NPO法人つどい場さくらちゃん」の丸尾多重子さんへ助けを求めた。
十数年にわたり多数の認知症家族や介護者の悩みに応えている丸尾さんは、これらのケースは決して珍しいものではないと断言。Aさん、Bさんが口にしたのは「認知症について知らなすぎた。それが安易に精神病院へ入院させることにつながった」と話す。丸尾さんが指摘するのも、「無知は罪。大事な家族を守るには、まず認知症を知らなくては」ということだ。