専門医がポイント解説 必要最低限の薬で「うつ病」を治す
「食事、運動、睡眠などの生活習慣や成育歴、過去の人間関係などを通じて長い時間をかけてつくられた考え方の癖や生きづらさに患者さん自身が気づくことが、症状を改善する上で必要不可欠です。専門用語では『認知のゆがみ』といいます」
■体の病気が見落とされている
加えて千村院長が重視しているのが、体の病気の見落としだ。
うつ病など精神の病気は「器質的疾患がない」ことが大前提となる。器質的疾患とは、検査でわかる体の異常だ。
「うつ病と似た症状のある体の病気は数多い。しっかりと除外診断できていればいいのですが、検査自体が行われていなかったり、検査は受けているがギリギリ正常範囲だったため『問題なし』とされている。別のクリニックでうつ病治療を受けても良くならなかった患者さんを診ると、かなりの確率で体の病気が隠れているのです」
鉄欠乏性貧血、甲状腺機能亢進症・低下症、睡眠時無呼吸症候群、LOH症候群(男性の更年期障害)などだ。ビタミン、ミネラルの不足、何らかのホルモン分泌異常なども無視できない。千村院長は、血液検査、体重、血圧、体温など身体検査を入念に行ってデータを慎重にチェックする。患者の納得のもと、ビタミン、ミネラルなどを調べる保険適用外の検査を行うこともある。