日本人初の同時移植 ハギワラマサヒトを救った太田光と妻

公開日: 更新日:

 その時点で「余命半年」と宣告されていましたが、移殖者リストの登録順を見ると「1年~1年半待ち」でした(笑い)。ただ、「もう危ない」となったら、リストの順位が入れ替わるシステムなので、順位は上がったり下がったりするんです。

 でも、順番が回ってこないまま9カ月が経ち、体は限界にきていました。腎不全にもなり、急きょ首の血管から人工透析をしたところ、バスタオルでも間に合わないほど、口から血があふれました。

 その夜、「もう何日ももたない」と感じ、日本にいる家族と太田さんに電話をしたんです。「ここまで頑張ってきたけれど、もうダメだと思う」と……。「そんな弱気だからダメなんだ、おまえは」なんて太田さんに励まされながら、内心では「これが最後」と思って電話を切ったことを覚えています。

 ドナーが見つかったのは、そのわずか2~3時間後でした。「何だったんだ? さっきの電話は」となりましたが、とにかくうれしかった。手術室の前で「もう助からなくてもいいや」と思いました。それくらいやりきった満足感があったんです。と同時に、どこかで「この流れなら移殖は成功するだろうな」とも思っていましたけどね(笑い)。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」