ノロウイルスは心臓にも大きな負担をかける
血液がドロドロになるため、血管が詰まりやすくなったり、血栓もできやすくなります。とりわけ、心臓手術を受けた後や不整脈治療のために抗凝固剤を飲んでいる人は、脱水を起こすとさらに血栓ができやすくなるため、注意してください。
もともと心臓疾患を抱えている人はもちろん、脱水を引き起こすノロウイルスへの感染が誘因になり、心臓疾患を発症したり、突然死を招く可能性もあるといえます。それだけ、ノロウイルスによる脱水には注意する必要があるのです。
当院でも、心臓の手術を控えて入院していた患者さんがノロウイルスに感染し、1週間ほど手術を延期したケースがあります。
当然のことですが、そのまま手術すると合併症を起こすリスクが高いからです。その患者さんに対しては、感染を拡大させない対処をして、脱水にならないように細心の注意を払い、ウイルスが完全に排出されるまで待ちました。
また、私自身もノロウイルスに感染して予定していた手術を取りやめた経験があります。これまで35年以上、心臓外科医をやってきて、手術を回避したのはノロウイルスに感染した時と、尿管結石になった時の2回だけです。