大手製薬会社がシフト 「抗がん剤」開発に大型投資の未来
国内大手製薬会社は、がん治療薬の開発で海外メーカーに比べて後れを取ってきた。
しかし、ここにきて大手各メーカーは、がん治療薬を重点に開発資金をシフトしてきた。
第一三共は中山譲治会長兼CEOが「あらゆる資源をがんに傾斜配分する」と明言。20年までに総額9000億円の研究開発費をがん治療薬の開発に投入することを発表した。
武田薬品工業は現在、4兆円規模でアイルランドの大手製薬会社シャイアーの買収を検討中だ。武田はすでに昨年2月、がん治療薬に強い米国の製薬会社アリアド・ファーマシューティカルズを約6200億円で買収。さらに昨年末には東京本社ビルの建物と土地を約495億円で高島屋に売却したほか、品川区の賃貸用オフィスビルを約320億円で売却している。いずれもがん治療薬開発の遅れを取り戻すためのシフトだ。
「これまで治せないといわれたがんも、遺伝子を見つけることで治る。免疫治療薬の開発で5年後にはがん患者は死ななくなる。その一歩手前まで来ているといえます」(前出の吉川氏)