子供好みの食事が続くと…すい臓がんリスクを医師が解説
ところが現在の人間ドックや健診はすい臓の異変を見逃しがちで、重度のすい炎やすい臓がんになって初めて気づく場合が多い。国立がん研究センターによると、すい臓がんが発見された時点で他の臓器に転移して手術ができない4期のケースが40%以上で、転移のない0期と1期での発見はたった12%。すべてのがんの5年生存率が62.1%に対してすい臓がんのそれは7.7%だった。
■女性の罹患率が急上昇
とくに女性は注意が必要だ。
すい臓がんのリスクファクターは「年齢」「喫煙」「肥満」「運動不足」「脂肪過剰な食事」「飲酒」「糖尿病」などで、高齢な男性が多かった。近年は女性の罹患率が急上昇している。
「気になるのは飲酒や喫煙の経験がない女性患者が増えていることです。男性と違い外食の回数が少なく、子供と同じ食事になりやすい。気付かずに脂肪過剰の食事を取っている可能性があり、そのことがすい臓に関わる遺伝子に影響を与えているのかもしれません」
例えばすい臓をつかさどる遺伝子に「トリプシン・インヒビター1」がある。消化酵素トリプシンを制限する働きがあり、これが弱いとトリプシンが暴走して自分の体内のタンパク質を分解してしまう。フランスの研究ではすい臓の弱い家系はこの遺伝子が欠損するか、弱っていたと報告されている。