子供好みの食事が続くと…すい臓がんリスクを医師が解説
慢性すい炎になると「腹部の痛み」「倦怠感」「背中の凝り」「体重低下」「水面に広がる脂便」などの症状が出る。吉田さんも思い当たることがあったと言う。
すい臓は胃の裏側にある長さ15センチほどの臓器で、すい液を作り、十二指腸に送る。具体的には、糖質を分解するアミラーゼ、タンパク質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼといった消化・分解酵素や糖の代謝に必要なインスリン、グルカゴンなどのホルモンを分泌する。
「これがうまく働かないと、細胞に栄養が供給されず、エネルギーが作れなくなります。すい臓が悪いと疲れやすいのはこのためです。50年ほど前まで日常的に脂っぽい食事をする習慣がなかった日本人はすい臓の機能が弱い。晩婚化で女性の第1子出産の平均年齢は31歳となったのに、すい臓が縮小しその機能低下が目立ち始める40代以降も子供と同じ脂肪たっぷりの食事を取り続ければ、すい臓に問題が起きるのは当然です」
すい臓の病気は短命につながる。日本の慢性すい炎の平均死亡年齢は男性が67.2歳、女性は68.7歳と平均寿命より10歳以上短い。死因の44%はがんである。