精子の動きを障害する抗体が作られ受精しにくくなることも
月経不順を来す排卵障害は、急激なダイエットや精神的ストレスなどでも起こるが、最も多いのは排卵を調節するホルモンの分泌異常。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの疾患だ。
「PCOSは、なかなか排卵しないなどの月経異常、血液検査でのLH(黄体化ホルモン)などのホルモン値異常、経腟超音波での卵巣の所見で診断します。多くは排卵誘発剤を使用することで排卵を促します。中には『インスリン抵抗性』が高いために糖尿病治療薬を併用することも。PCOSの原因は不明なところも多く複数の病因が考えられていますが、そのひとつに男性ホルモンの過剰もあります」
子宮の障害では、子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどによって受精卵(胚)の着床を阻害したり、子宮の異常収縮や血流障害が不妊の要因になる。子宮頚管の障害は、頚管ポリープや頚管粘液(CM)の質や量の異常。ポリープがあったり、正常なCMが多く分泌されないと、精子が子宮の奥まで泳いでいけないのだ。
「免疫因子は、何らかの免疫異常で精子を障害する抗体(抗精子抗体)が作られて受精しにくくなります。特に精子の運動を止めてしまう『精子不動化抗体』が高いと、人工授精で子宮に精子を注入しても妨害されます」
きちんと治療をすれば40代でも妊娠は十分可能。あきらめないでほしいという。