患者にとって「がん」という言葉は計り知れないほど重い
しかし、「肝機能の異常もあるし、腹部超音波検査も行います。このような採血結果で膵臓がんが隠れている方もいるんですよ」と話すと、一転して「ぜひ超音波検査をして下さい」と希望されました。幸い膵臓がんは認めませんでしたが、糖尿病科に入院となりました。
医師の口から「がん」という言葉を聞くと、患者さんの気持ちは尋常な状態ではなくなります。早期がんでも、がんでなくとも、「がん」という言葉はとても重く感じるのです。患者さんの中で「がん=死」というイメージは根強いように思います。がんと言われるとすぐに死が頭に浮かぶ……それは仕方のないことかもしれません。
一生のうち2人に1人はがんになる、年間100万人を超える方ががんの診断を受ける時代です。しかし一方で、たくさんの方ががんを克服し、働き、元気に生活されています。
もし、がんと言われて不安になった場合にどうするか。心を和らげるひとつの方法として、「不安な気持ちを誰かに話す」ことが効果的だと思います。話す相手は、家族でもかかりつけの医師でも誰でもいい。自分の心の中だけで我慢し続けるより、外に出した方が気持ちは楽になることが多いのです。たとえ話した相手に失笑されても、その後は、かえって気持ちが楽になります。
多くの病院には相談室やがん相談支援センターなどがあります。がん拠点病院では、他院にかかっている患者さんでも相談にのってくれます。がんに対する不安は、ひとりで抱え込まないことが大切です。