寿命に直結しかねない病気ゆえ リウマチ治療最前線を知る
田中教授の診療科の患者3000人が登録し、生物学的製剤を導入可能かどうか入念にスクリーニングを行った後、生物学的製剤の治療を開始。1年後に再検査を行ったところ、約3分の2で症状が軽減したが、残りは中程度の症状が残った。JAK阻害剤は、メトトレキサートや生物学的製剤で効果が不十分だった患者でも関節破壊を抑制するという研究結果が出ていることから、今後に期待を寄せている。
「生物学的製剤は点滴か注射でしか使えませんが、JAK阻害剤は内服が可能。生物学的製剤を含むリウマチ治療を行っている914人を対象にした調査で、75.8%は内服薬を好むとの結果が出ています」
JAK阻害剤は2013年承認の「トファシチニブ(商品名ゼルヤンツ)」と、17年承認の「バリシチニブ(同オルミエント)」がある。実は、トファシチニブは効果の高さは確認されていたものの、悪性腫瘍の発症を高めるのではないかとの懸念から、積極的に処方されてこなかった。
しかし、安全性を確認する調査を、投与中止症例も含む使用者全例(3929例)を対象に3年間の追跡調査を実施。中間解析では、悪性腫瘍の発症率に関して、高くならないことが判明した。