禁煙は5年でいい!? 死亡リスクの増加は見られず
喫煙は人の健康にさまざまな影響を及ぼし、発がんや心臓病の発症リスクなど、その有害性については多くの文献が報告されています。しかし、就労者のような比較的若い世代の喫煙が健康状態にどのような影響をもたらすかについては、あまりよく分かっていませんでした。そんな中、日本循環器学会誌の電子版に「日本人労働者の喫煙状況と死亡のリスク」を調査した論文が9月12日付で掲載されました。
この研究では、日本の労働者約10万人が登録されている職域多施設研究のデータベースから、7万9114人(平均43歳)を解析の対象としています。死亡診断書や病気休暇書類などが調査され、自己報告に基づく喫煙状況(非喫煙、以前の喫煙、現在の喫煙)と、死亡のリスクの関連が検討されました。なお、結果に影響を与えうる、年齢、性別、体格指数(BMI)、飲酒状況、高血圧や糖尿病の有無などの因子で統計的に補正して解析を行っています。
最大で6年間の追跡調査の結果、非喫煙者と比較して、喫煙者では、総死亡のリスクが1.5倍、喫煙に関連しているがんによる死亡が1.8倍、それぞれ統計学的にも有意に増加することが示されました。さらに、心臓病による死亡のリスクについても増加の傾向が示されています。