肺がん根治目指す 初の免疫チェックポイント阻害剤が登場
今年のノーベル生理学・医学賞受賞で大注目の免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」。いくら「夢の薬だ」といっても、肺がんの80%以上を占める非小細胞肺がんでは手術不能な進行(転移があること)・再発がんが対象で、抗がん剤や放射線治療後にしか使えない。いわば末期のがん患者に対する延命のための薬だ。しかし、新しい免疫チェックポイント阻害剤はⅢ期を対象に抗がん剤・放射線を併用して根治を目指すという。
先月末、欧州委員会は新たな免疫チェックポイント阻害剤の販売を承認した。「イミフィンジ」(一般名:デュルバルマブ)だ。
米国では今年2月、日本では8月に発売され、期待が高まっている。承認の根拠となった国際共同第3相臨床試験(PACIFIC)では、無増悪生存期間を11カ月以上(イミフィンジ群16.8カ月、プラセボ群5.6カ月)延長、再発・再燃リスクを48%減少させた。「JCHO東京新宿メディカルセンター」(東京・飯田橋)放射線治療科の黒崎弘正部長が言う。
「先月末、カナダ・トロントで開かれた世界肺がん会議では『死亡リスクが32%減少』『無増悪期間と遠隔転移までの期間の延長』などさらに詳しいPACIFICの内容が発表されました。また同じ抗PD―L1抗体薬のテセントリクは、従来の抗がん剤との併用で未治療の小細胞(悪性度が高い)肺がんに対して好成績が出たことも報告されました。それらはすぐに世界的権威のある医学雑誌の電子版で紹介されるなど医療関係者の関心を呼んでいます」