10~14歳が発症する1型糖尿病に新薬が 気になる注意点は?
そこで行われるのが、1日4~5回インスリンを打ち、健康な人と同じような血糖値の変動に近づける強化療法だ。従来の方法と強化療法を比較した研究では、長期的に見れば、強化療法の方が心筋梗塞などの心血管イベント発症率が低く、死亡率も低い。ところが、ここにも問題がある。
「強化療法などでHbA1c値が良好なほど合併症の進行は抑えられます。しかし、今度は命に関わる重症低血糖の頻度が増える。重症低血糖が怖いから、これ以上血糖値を下げられない。しかし、HbA1c7.8%は高い。これをなんとかできないか、という思いがありました」
そこで、SGLT2阻害薬の登場だ。この薬は血糖低下のほか、体重減少、血圧低下、HDL(善玉)コレステロール増加、中性脂肪低下など2型の病態を統合的に改善することが分かっている。1型にも同様の効果があるのではないかと考えられ、1型対象の臨床試験が行われた。それによると、SGLT2阻害薬はプラセボ(偽薬)に比べて、HbA1cと空腹時血糖値をより下げ、併用総インスリンの1日の投与単位数も減らせた。
■体重も減少