ピンピンコロリの手前の状態を指す「フレイル」とは何か
ごく単純化すれば、ロコモは「整形外科的な老化と障害」、サルコは「内科的な老化と病気」ということになります。
もちろん、きっちり分けられるものではないし、両方が混在しているお年寄りも大勢いるわけです。
ではフレイルはどういうものでしょうか?
これは特定の病気や症状というわけではなく、健康状態から要介護に至る中間的な状態と定義されています。ロコモもサルコも内包する、かなり広い概念を表す言葉です。
オリジナルは英語の「frailty」。論文にはよく使われているのですが、日本語に訳そうとすると「虚弱」「衰弱」「老衰」などとなって、どうもしっくりしません。そこで日本老年医学会などが「フレイル」にしようと決めたのです。なんだか「震える」ような語感で、いかにも体が弱ったお年寄りを連想させるではありませんか。
フレイルとは何かを、簡単な模式図で説明します。
図の縦軸は予備能力(生理的予備能)と呼ばれています。病気や精神的なストレスなど、心身が受けるさまざまなダメージから回復する能力、つまり体力・気力にどれだけ余力があるかを示しています。横軸は年齢(加齢)で、右に行くほど高齢になります。