著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

私自身がんになって<6>菅原文太さんの妻からの手紙

公開日: 更新日:

 反戦と無農薬・有機農業の拡大は、菅原文太さん(享年81)の晩年のテーマでした。今は亡き夫の遺志を継いだのが妻の文子さんです。12年前に文太さんが膀胱がんになられ、セカンドオピニオンを求めにおふたりで私の外来に来られて以来、交流が続いています。

 文太さんと同じ膀胱がんを患った私の経過は、5回にわたって紹介した通りです。それで一区切りのつもりでしたが、私の拙文を読まれた文子さんからお便りを頂戴したのでご紹介します。

「~専門医がまさか、とは驚きです。中川先生がこれから治療をされながら、何としても長生きして戴かないと、私ども患者予備軍は心配です。夫が本当にお世話になったことを思うにつけ、中川先生には深い感謝とともに、仁義ある戦いに勝って戴きたいものと、祈念する次第でございます」

 別の病院で膀胱がんと診断された文太さんは、膀胱全摘をためらっていました。全摘すると、尿をためるための人工膀胱を作らなければなりません。それはビニール袋のようなもの。俳優という仕事柄、ためらうのは当然でしょう。

 文太さんが文太さんらしく生きるために。文太さんの生活の質を第一に考えた治療の提案が、放射線治療でした。医師として当然のことをしただけですが、それが縁でおふたりとは折に触れて交流する機会に恵まれたことは私としてもうれしく思っています。文太さんの代表作になぞらえて、「仁義ある戦い」とお褒めの言葉を頂戴したことは、光栄です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…