著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

私自身がんになって<6>菅原文太さんの妻からの手紙

公開日: 更新日:

 お花も頂いたのでお礼にお電話すると、こう言われました。

「中川先生が無症状の膀胱がんをご自身でエコーで早期発見されたのは、天の文太の導きかもしれません。文太は生前、『中川先生のおかげで寿命をまっとうできた』とよく話していました。そういえば、(キャスターの)小倉さんも先生も文太も、膀胱がんになる人はみんな、お酒が好きですから、早期発見は何よりですね」

 おっしゃる通りです。国立がん研究センターが約9万6000人を平均18年間追跡した調査があります。飲酒で顔が赤くなる人が、純アルコール量で1週間に151~300グラムを摂取すると、ほとんど飲まない人に比べて膀胱がんのリスクが約2倍に上昇したというのです。赤くならない男性は、アルコール量に関係なくリスクは上昇しませんでした。

 純アルコール量は20グラムで、ビールは中瓶1本、日本酒は1合、ウイスキーはダブル1杯、焼酎は0・6合です。1週間に151~300グラムは、ビールなら毎日中瓶1、2本飲むことになります。欧米では、アルコールと膀胱がんとの関係はないとされますが、日本人はアルコール分解力が弱いため、飲酒で赤ら顔になる人は膀胱がんとの関係がうかがえるのです。

 確かに、飲み過ぎによる脂肪肝がキッカケで、自分でエコー検査をするようになったことが、膀胱がんの早期発見につながりました。ある意味で“脂肪肝さまさま”ですが、ならないに越したことはありません。お酒が好きな読者の方は、節度ある飲酒を心掛けてください。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動