長引く腰痛の陰に…難病指定「強直性脊椎炎」の可能性が
大病院を複数回っても診断がつかなかったという患者は珍しくなく、「精神的な病気」と言われた経験を持つ患者もいる。
確定診断まで時間がかかるのは、強直性脊椎炎の診断基準に「レントゲン検査の所見」が入っているからだ。
「しかし、強直性脊椎炎は早期ではレントゲン検査に異常が表れません。進行スピードは非常にゆっくりです。レントゲン検査で仙腸関節炎が見られたら強直性脊椎炎の確定診断につながりますが、そこに至るまで、腰痛などの症状が出始めてからかなりの年数が必要なのです」
強直性脊椎炎は、白血球にある抗原「HLA―B27」と関連があることが分かっている。血液検査をすると、強直性脊椎炎の患者の80%以上がHLA―B27が陽性だという。ところが、このHLA―B27の保有率は地域や人種で差があり、日本人は1%未満しか持っていない。
「しかも、HLA―B27陽性者のうち強直性脊椎炎の患者は5%程度しかいません」
強直性脊椎炎の早期段階である「エックス線基準を満たさない」体軸性脊椎関節炎の診断基準では、仙腸関節のMRI検査の陽性所見、あるいは血液検査の結果がHLA―B27陽性となれば、腰痛(炎症性背部痛)や関節炎などを見て、確定診断に至る。