会社員に「がん保険」は必要か 意外に少ない本人負担額
もし多額の治療費が必要になるとしたら、それは自由診療を受ける場合です。費用はすべて自己負担、しかも医者の言い値です。総額数百万円、中には1000万円を超えることもあるといわれていますが、実態は明らかではありません。それに効果のほども定かではありません。しかもがん保険の保障対象外です。
人気の商品の中には、「がん診断一時金」や「収入保障」をうたったものもあります。がんと診断されると、まとまった一時金をもらえる、あるいは毎月数万円を最大2年間もらえるといったものです。
しかしサラリーマンが加入する健康保険には、「傷病手当金」という制度が組み込まれています。病気やケガで仕事ができなくなっても、最長18カ月にわたって、それまでの月給の3分の2をもらい続けられるというものです。しかも会社を辞めても支給は続きます。つまり保険会社に毎月高い保険料を払い続けなくても、健康保険に加入している限り、医療費や生活費で窮する心配はほとんどないというわけです。
(長浜バイオ大学医療情報学・永田宏教授)