ポテトサラダで新じゃがのビタミンCを逃さずおいしく摂取
生命が最も高まる瞬間のビタミンC
月の上旬、中旬、下旬という言葉がある通り、旬とは本来たったの10日間のこと。ゆえに、旬の食とはその食材のもととなる生命の輝きが最も活発なほんの一瞬、ということになる。植物性の食材であれば芽吹きや実りの瞬間にあたるし、動物性の食材であれば産卵を前にエネルギーを蓄積したとき、あるいは冬に備えて脂を蓄えたとき、といった時期になる。我々は、他の生物の生命をいただくだけでなく、その生命が最も高まるときを見計らって収奪してしまうのだから、人間は本当に罪な存在である。増え過ぎた人類の、一人一人の人権を支えるためのありがたきリソースとして地球環境があることをいま一度、食事の前に心に刻みたいもの。
さて、訓話はこれくらいにして、今回は新じゃがいも。何が「新」かといえば、普通のじゃがいもは秋に収穫するところ、夏前にもおいしいじゃがいもが食せるがゆえの新。前の年の冬に植えてちょうど今ごろ収穫できるようにした。小ぶりで皮が薄く、みずみずしいのが特徴。温暖な地域でたっぷりと太陽の光を浴びて栽培される。新じゃがいもに含まれるビタミンCは同じ重さのリンゴの8倍! 2つ食べれば一日の必要量が満たせる。
▽福岡伸一(ふくおか・しんいち)1956年東京生まれ。京大卒。米ハーバード大医学部博士研究員、京大助教授などを経て青学大教授・米ロックフェラー大客員教授。「動的平衡」「芸術と科学のあいだ」「フェルメール 光の王国 」をはじめ著書多数。80万部を超えるベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」は、朝日新聞が識者に実施したアンケート「平成の30冊」にも選ばれた。
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