長期にわたる冠動脈起始異常の研究は突然死の防止に役立つ
こうした研究はこれまで行われていないので、この先さらにデータが積み上がってくれば、非常に有意義なものになるでしょう。突然死の防止や心臓疾患の予防に大いに役立ちます。
たとえば、心臓から冠動脈が出ている高さが少し違っているだけで、その後の動脈硬化の起こり方が変わってくる傾向があります。位置が高くなるだけ「ずり応力」(液体の移動に対する抵抗力)と呼ばれる力が大きくなるためです。心臓が収縮するたびに血管が大きなずり応力を受けていると、力がかかっている箇所がだんだん硬くなってくるのです。今回の研究では、冠動脈のズレによる短いスパンのリスク検証だけでなく、長期で見た場合にどんな影響があるのかも見ていきます。
研究の対象は当院で治療を受けている子供が中心で、小児科、循環器内科、心臓血管外科が合同で実施しています。また、健康診断を行う学校にも協力してもらっています。健診で急な立ちくらみや失神の経験がある子供がわかった場合、てんかんが疑われるため脳波を検査します。その際、心臓も同時に調べるのが一般的で、もし冠動脈起始異常が見つかれば長期的にフォローして観察を続けるのです。