野菜は豊富にとれるが…忘年会の「鍋」は胃に優しいのか
私は消化器内科医として日々、上部消化管内視鏡検査などを行っています。上部消化管とは食道、胃、十二指腸のことをいい、上部消化管内視鏡検査とは別名「胃カメラ」と呼ばれています。
口から入れて潰瘍、ポリープ、がん、炎症などがないかを調べるのですが、「12月の胃袋」は他の季節に比べて荒れているなあ、と感じます。
実際、胃の粘膜表面にびらんができていたり、出血していたり、胃の内容物が食道に逆流し、胃酸によって食道の粘膜が炎症を起こしている人が非常に多いのです。
注意したいのが忘年会の鍋料理です。
鍋は胃に優しいイメージがありますが、シイタケ、キノコ、アサリ、ハマグリ、タコ、イカなど食材によっては胃の中で消化されるのに時間がかかります。しかも、大勢が競うようにして食べるため、過食になりがちで、それに大量のお酒が加わる。それを2~3時間で済ませるのですから、胃を疲れさせかねません。
ご存じのように、胃もたれとは食べ過ぎや飲み過ぎによって胃の働きが弱まって、胃が重く感じる症状のことです。それは食べた物が長時間、胃の中に残っている場合に発生します。