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関由佳医師・料理家

専門は内科、予防医学。2013年ニューヨークの料理専門学校(Natural Gourmet Institute)で資格取得。著書に「毎日食べたい!腸活みそレシピ」ほか

切り干し大根には栄養たっぷり!生とは比較にならないほど

公開日: 更新日:

切り干し大根とひじきの胡麻みそサラダ

 現在、私は淡路島で持続可能な循環型の自給自足の生活を目指しています。それは食べ物だけに限らず、衣食住すべてにおいてです。2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、30年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として「持続可能な開発目標(SDGs)」があります。SDGsは医療(健康)・教育・エネルギー・環境などさまざまな分野の17のゴールから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 

 SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本でも多くの企業が積極的に取り組んでいます。私は、このSDGsを個人個人が意識し、日々の生活の中で選択していくべきではないかと考えています。

 これまでもみそをはじめとした発酵食品の優秀性をお話ししていますが、今回はその発酵の観点から、再生可能なバイオマスエネルギーについてお話ししたいと思います。「バイオマス(biomass)」は、「バイオ(bio=生物、生物資源)」と「マス(mass=量)」からなる言葉で、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」とされています。

 バイオマスといいますと、稲わらや廃木材などの未利用のバイオマスや飼料作物(トウモロコシ、イモ類)を想像するかと思いますが、近年では、微生物の発酵作用を利用してバイオマスから有価物を回収する技術開発が進められています。生ゴミや汚泥、家畜糞尿から可燃性ガスの回収を行いつつ、廃棄物の減量化を図るメタン発酵なども実用化されています。

 身近で体感できるバイオマスエネルギーを活用した健康法として、いま私が注目しているのは酵素浴です。

 酵素浴とは、自宅の浴槽のようにお湯に入る温浴法ではなく、おがくずや米ぬかなどに“酵素液”と呼ばれる野草などの植物から抽出された液体を加え、電気やガスなどの人工熱源は使用せずに微生物の活動によってのみ発生した自然の発酵熱を利用した温浴法です。

 酵素の働きによる発酵熱の温度は高い時では約70度ほどですが、実際にヒノキのおがくずや米ぬかのクッションを通じて体感する温度は約50度前後となります。この発酵熱により体の芯からじんわり温まり、発汗によるリラックス効果があり、とくに冷え性や肌トラブルの悩みを持っている方におすすめです。

 各地にこうした施設がありますから、ぜひ微生物の発酵のエネルギーを体感してみてください。

 今回の腸活みそレシピは、切り干し大根とひじきの胡麻みそサラダです。切り干し大根は水で戻さず、みそ、酢、白練り胡麻を合わせた調味料に漬け込むことでシャキシャキの食感と栄養素を逃さず楽しむことができます。

 天日干しの切り干し大根は、生の大根と比較すると、カルシウムは23倍、ビタミンB1とB2は10倍、カリウムは14倍、食物繊維は16倍も多く含まれています。カルシウムは骨の強化や神経の伝達に関わるミネラルで、カリウムは高血圧を予防し、食物繊維は便秘を緩和するなどの作用があります。また、乾燥の過程で糖化が促進され、甘味が増すというメリットも。常備菜として、ぜひご活用ください。

《材料》(2人分)

切り干し大根 40グラム
ひじき 3グラム
紫玉ねぎ 小2分の1個(60グラム)
みそ 大さじ1
酢 大さじ2
白練り胡麻 小さじ2

《作り方》

(1)ひじきはたっぷりの水で20分ほど戻しておく。切り干し大根は水で戻さず、さっと洗いザルにあげておく。紫玉ねぎはスライサーで薄くスライスする。
(2)ボウルに、みそ、酢、白練り胡麻を入れ、よく混ぜて調味料を作る。
(3)①の材料を②にすべて入れ、全体が均一に混ざるように和える。
(4)10分ほどおいて、切り干し大根が食べやすい硬さになっていたら出来上がり。

【連載】毎日大さじ1杯!腸活みそ料理

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