交尾の時間が関係する?なぜ人間のペニスには骨がないのか
さらに長い陰茎骨は、メスを取り合う生殖競争の激しさとも相関していたとしています。つまり「競争相手が多く、交尾時間が長い」ということが、陰茎骨を持つ哺乳類の交尾の特徴という見解です。交尾時間が長ければ、それだけメスが他のオスと交尾する機会が減り、自分の遺伝子を残すことができるわけです。
一方、人間の場合はどうでしょう。研究チームは、190万年前のホモ・エレクトス(原人)の頃から「一夫一婦制」が広がったため、女性をめぐる生殖競争が起こりにくくなり、次第に消失していったと推測しています。それに人間の男性の場合、挿入から射精までの時間が平均2分程度とし、わざわざ陰茎骨でサポートする必要がないとしています。
人間に近い霊長類のチンパンジーやボノボは、挿入時間が平均7~15秒と短いのですが、約7ミリの陰茎骨があります。これは1匹のメスが複数のオスと乱交するため、完全に消失せずに保持していると推測しています。ほかにも人間の陰茎骨の消失には諸説あり、股間に硬い骨があると「二足歩行に邪魔だから」という仮説もあります。