感染封じ込め成功国からの帰国<1>マスク姿は街から消えている
感染者数がゼロの日もある現在、台湾は「防疫新生活運動」をスローガンにして、マスクの着用や手洗い、店に入るときの検温の協力を要請している。
「女性はピンク色、男性は黒や青色系のマスク着用が多かったのですが、そのマスク姿も街から次第に消えています」(古川さん)
帰国の準備をしながら古川さんは、インターネットの検索で日本のコロナ情報を収集。特に「厚労省医薬・生活衛生局検疫所業務管理室」の案内を熟読した。大要こう記されていた。
「帰国されたお客様へ PCR検査を受けること。飛行場から自宅までの公共交通機関(鉄道、バス、タクシー、飛行機、旅客船)の使用は不可。入国した次の日から14日間は、申告した宿泊先で待機」――。
外務省にも直接問い合わせをすると「8月に日本に帰国する人は、2週間の隔離を前提にしてください」と説明された。
古川さんに成田まで、車で迎えに来る親族はいない。移動に自力(レンタカー)は可だが、ここ数年ハンドルを握っておらず、運転に自信がなかった。
古川さんは台湾で成田のホテルを予約し、自宅から台北市郊外の「桃園国際空港」までタクシーを走らせた。