認知症の予防にはサウナが効果的な可能性あり 専門誌で報告
熱気を用いた蒸し風呂をサウナと呼びます。蒸気により室温を70~100度に保ち、そこで5~20分過ごすのが一般的なサウナ入浴です。サウナの発祥の地であるフィンランドでは、サウナ入浴に関するさまざまな研究が行われているようです。そんな中、予防医学の国際誌に2020年10月2日付で、サウナ入浴と認知症の関連について検討した研究論文が報告されました。
この研究では、フィンランドに在住している30~69歳の1万3994人が対象となりました。研究参加者に対して、サウナの利用頻度に関するアンケート調査を行い、認知症の発症リスクとの関連性が検討されています。なお、結果に影響を与えうる年齢、性別、教育水準、飲酒・喫煙状況などの因子について、統計的に補正をして解析されました。
39年にわたる追跡調査の結果、認知症のリスクは1カ月当たりのサウナ入浴が4回以下の人と比べて、9~12回の人で19%、統計的にも有意に低下しました。しかしながら、13~30回の人では認知症のリスクと明確な関連性を認めませんでした。
適度なサウナ入浴は、認知症の予防に有益である可能性が示されています。ただ、サウナを利用する人は、利用しない人に比べて健康的で、もともと認知症のリスクが低い人たちだったかもしれません。また、サウナの利用頻度については研究開始時の1回しか調査されておらず、その後の利用状況の変化については考慮されていません。当初はあまりサウナを利用しなかった人でも、その後に利用頻度が増えたかもしれません。とはいえ、認知機能に悪い影響が示されたわけでもありませんので、これからの寒い時季、サウナで体を温めてみるのも良いかもしれません。