「ランチ会食も自粛」というが…一人メシには落とし穴が
そもそも、一人メシは気楽でいいと思われがちだが、体調を崩す原因のひとつだ。
「テレビやスマホなどを見ながらの“ながら食べ”は食事の満足度が低いという報告もあります。消化酵素がきちんと働き、栄養素を取り込むためには楽しい気持ちで食事をするのが重要です。もともと、一人メシの時間を楽しく過ごしている方であれば問題ないのですが、一人メシがつまらないと思いながら食べていると、逆に消化不良が起きてしまう可能性があるのです」
こう言うのは「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」の著者で、愛国学園短期大学非常勤講師の古谷彰子氏だ。
実際、肥満が高血圧、糖尿病を引き起こすのはご存じの通り。消化・吸収力が低下し、噛む力や嚥下力が低下している高齢者は、味気ない孤食が原因で少食・低体重になり、栄養不足からうつ病を発症したり、寝たきりになる恐れもある。弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長が言う。
「孤食が多い独居老人は一緒に食事する人がいる高齢者に比べて男性は2・7倍、女性は1・4倍、うつになる可能性が高くなることが報告されています。しかも、高齢者は、しゃべらず、よく噛まない生活が続けば、あごの筋肉などが衰えて、それをきっかけに体全体の筋肉が衰えていき、寝たきりのリスクが高まることもわかっています。オーラルフレイル(口の虚弱)の人は、そうでない人に比べて身体的フレイルになる人が2・4倍、筋肉量や筋力が低下するサルコペニアは2・1倍、要介護認定になる人も2・4倍で、総死亡リスクも2・1倍になるといわれているのです」
感染症対策の基本は感染経路を正しく理解し遮断すること。それさえ守れば必ずしも一人メシが必要なわけではないのだ。